ブロック塀はプライバシーの確保や家を守る大切な役割を担っている一方で、危険性もはらんでいることから、ブロック高さ制限が設けられています。そのため、マイホームでブロック塀の採用を検討している場合、高さ制限の範囲内での設置が求められます。
この記事ではブロック高さ制限について、なぜブロック高さ制限があるのかや具体的な数字などを紹介します。ブロック塀の設置を検討している方は要チェックです。
Contents
ブロックの高さ制限
ブロック高さ制限は基礎から高さ2.2メートル以内である必要があります。
高さが2.2メートルを超える場合、構造計算書を用意しなければなりません。
しばし、「1.2メートル」とする声も聞かれるのですが、1.2メートルを超えるブロック塀の場合、控え壁が必要になるため、「控え壁無し」の場合、ブロック高さ制限は1.2メートルとなります。
一般的な住宅用建築物の場合、控え壁を設置するとなればその分の敷地や費用が必要になります。
費用や設置スペースを割いてまで2.2メートルのブロック塀を設置必要性が低いことから、「ブロック高さ制限は1.2メートル」とアナウンスしている工務店やハウスメーカーのホームページもあります。
そのため、「高さ制限1.2メートル」は、決して「根も葉もない間違い」ではありません。
なぜブロックに高さ制限が生まれたのか
かつてブロック高さ制限はありませんでした。
しかし、2018年6月に起きた地震において、ブロック塀が倒壊することで犠牲者が出てしまいました。
それまでブロックに高さ制限はなかったため、建築者の自由でした。
しかし大阪を震源とする地震によってブロック塀が倒壊したことで、ブロック塀の危険性が認識され、法律が改正されることとなりました。
法律には「不遡及」という原則があります。
法律ができた時には、それまで法律になかったことは違反として問われないことを意味するものですが、ブロック高さ制限に関しては以降のブロック塀の設置の際の新しい基準だけではなく、安全確認点検が義務付けられました。
その結果、安全性に問題があると判断された場合には改修が義務付けられました。
改修内容としては控え壁の設置、鉄筋の追加、基礎補強が挙げられます。具体的方法についての指定まではありませんが、これらの方法にてブロック塀を補強し、倒壊リスクを軽減させなければなりません。
ブロックの高さ制限以外の制限
ブロックには高さ制限だけではなく、その他にもいくつかの制限が設定されています。
高さ制限も重要ではありますが、遵守すべきは高さ制限だけではありません。
ブロック塀を設置する場合、すべての規定を満たさなければなりません。
厚さ
ブロック塀の暑さは15センチメートル以上と定められています。
ただし、高さ1.2メートル以下のブロックの場合、15センチメートル以下ではあっても、12センチメートル以上の厚さがあれば認められることがあります。
この点に関しては自治体にしっかりと確認を取ることをおすすめします。勝手な判断で厚さを勝手に決めた場合、認められなければブロックを作り直すことになります。
基礎
ブロックの基礎は地盤に固定されていなければなりません。
さらに深さは30センチメートル以上で、ブロック塀の厚さ以上の幅でなければなりません。
控え壁
先程お伝えしたように、ブロックの高さが1.2メートルを超える場合、控え壁が必要です。ブロック塀の両端への設置だけではなく、幅1.2メートル毎に設置しなければならないため、長いブロック塀を設置する場合、控え壁を随所に設置しなければなりません。
そのため、立派なブロック塀であればあるほど、控え壁も存在感を発揮することになります。デザイン・外観的に納得いかないかもしれませんが、定められたルールである以上、遵守しなければなりません。
鉄筋
鉄筋に関しては具体的な数値・幅等の指定はありませんが、「適切な感覚での配置」と「縦方向と横方向の両方」に入れることが推奨されています。
ブロックの高さ制限に違反した場合の罰則
紹介したブロック高さ制限は、建築基準法で定められたものです。
決して「守った方が良い暗黙の了解」ではなく守らなければならないルールです。
そのため、遵守していない罰則が待っています。
ここではどのような罰則が待っているのか、順を追って紹介しましょう。
是正命令
まずは是正命令です。
「しっかりブロック高さ制限を含めた建築基準法を守りましょう。」と勧告を受けます。
この時点では罰則はありません。
そもそも、是正命令そのものが罰則・ペナルティとの考え方もありますが、この時点では罰金等、経済的負担を強いられる罰則はありません。
基本的には地方自治体からの是正命令となりますが、是正命令に従って高さ制限を含めたブロックのルールを遵守すれば、その時点で問題は終わりとなります。
行政代執行
是正命令に従わなかった場合、自治体による行政代執行が行われます。
具体的には「強制的に違反を是正する」ものなので、自治体がブロック高さ制限を含めた、ブロックに関する様々な問題を解消するための工事を行います。
「行政が工事してくれるならありがたい」と思うかもしれませんが、工事の費用は請求されます。
行政代執行における費用負担は法律で定められているため、自治体側には何ら落ち度がありません。
さらに、請求される工事費用は高いか安いかの判断などできません。請求された金額を支払うのみで、滞支払わなかった場合、口座の差し押さえとなります。
また、口座の金額が不足している場合は財産となるものを差し押さえされます。
罰金
是正命令に従わなかった場合、建築基準法違反として罰金を科されるケースがあります。
ただし、ブロック高さ制限の場合、行政側としても地域の安全を考慮しているため、罰金ではなく行政代執行へと進むケースが一般的ですが、100万円以下の罰金との規則が定められています。
刑事罰
何度も無視するなど、度重なる違反行為が確認された場合は刑事罰が科される可能性もあります。6ヶ月以下の懲役、または100万円の罰金となっています。
ブロック高さ制限だけではない設置の注意点
ブロックを設置する場合、高さ制限など建築基準法の遵守は大前提ですが、それ以外にもいくつか気を付けるポイントがあります。
法律の遵守は大前提ではありますが、法律を守っても危険にさらされるようでは意味がありません。
そこで、ブロック塀設置にあたっての注意点・ポイントをいくつか紹介します。
地盤の状態
ブロック塀を設置する地盤が貧弱では、高さ制限を遵守してもブロックが倒れるリスクが高まります。
地盤が弱い場所ではブロックの設置を諦めるか、あるいは地盤改良を行うなどしなければなりません。
排水対策
ブロックの近辺に排水設備を設定することでブロック、ひいてはその周辺の水はけがよくなります。
これにより、ブロックの劣化防止が期待できます。
もしも排水対策を行わずにブロックを設置した場合、ブロックの劣化による倒壊リスクが高まります。
景観条例
景観条例が設定されている場所の場合、ブロック塀のデザイン・色や周囲との調和が求められます。
高さ制限も重要ではありますが、景観条例も法律です。
こちらも遵守が必須なので景観条例の有無や、有る場合にはどのような中身なのか必ず確認しておきましょう。
敷地の境界線
ブロックは敷地の境界線に設置するケースが一般的です。
当然、境界線より外に設置することはできないので、境界線の内側に設置します。境界線をわずかでもはみ出てしまうと、隣家とのトラブルになりかねません。
この点は法律ではなく、その後の生活に大きな影響を与える部分なので必ず確認しておきましょう。
防犯対策
ブロックは防犯対策としても機能する一方で、家のデザインや周囲の環境によっては死角となってしまうこともあります。
そのため、防犯を意識したデザインや高さはもちろんですが、照明や防犯カメラを設置するなど防犯も考慮する必要があります。
メンテナンス
ブロック塀は設置して終了ではありません。いわば「野晒」となる部分なので劣化します。そのため、定期的なメンテナンスが必要です。
メンテナンスにどれだけの費用がかかるのか、期間や業者の手配なども考慮する必要があります。
これらが面倒だと感じるようであれば、ブロックの設置を諦めた方が良いでしょう。
ひび割れや欠損して鋭角となったブロックが何らかのトラブルを巻き起こす可能性があるだけに、メンテナンスも重要です。
気候
住まいによって気候が変わります。
特に寒冷地の場合、凍結融解によってブロックが劣化します。
耐寒性のある材料を使用するなど工夫が求められる一方で、雨量の多いエリアは先にお伝えしたように水はけが重要です。
陽射しの強い場所ではブロックが高温となることで家屋の他の設備に支障をきたすリスクがあります。
このように、気候環境も考慮しておく必要があります。
ブロック塀のメリットとデメリット
ブロック塀には高さ制限を含めた建築基準法の遵守が求められます。
面倒だと思う人も多いことでしょう。
それでも設置したいと思うか、あるいは控えるかは人それぞれですが、ブロック塀の設置にあたってのメリット・デメリットも紹介します。
ブロック塀のメリット
耐久性の高さやプライバシー、さらには防犯性や防音効果がある点がメリットです。
また、他のフェンスと比較するとメンテナンスの負担は小さいです。近年はブロック塀にも様々な種類が増えているため、デザイン性で選べる点もメリットです。
ブロック塀のデメリット
重量があるため、倒壊した際に大きなリスクを伴うケースがある点や自分でのアレンジが難しいです。少し移動させるだけでも大きな負担を強いられますし、その都度高さ制限を含めた建築基準法の遵守が求められるため、一度設置した後は、変更したい場合は業者を呼ぶしかありません。
まとめ
ブロックの高さ制限について解説してきました。
いかがでしたでしょうか。
メリットやデメリットもありますが、高さ制限以外の
注意点も守って設置することをおすすめします。